日本正座協会


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第10話 素朴な 和む 美しい正座椅子


執筆者:そうな


 日本の行事に、正座は欠かせない。
しかし、正直に言うと、私自身は正座が苦手である。
確かに、正座をすると背筋が伸び、心が引き締まる気がするのだが、だからといって続けられるかは、また別の問題だ。
たまに正座をしても、10分ほどで足に違和感を感じてしまう。
たまに「お、長く正座できてるんじゃないか」と思うが、立った拍子に、潜在していたシビレが、例えようの無い感覚で足を襲撃してくる。

 そこでだ。
私には、前から気になっていたものがある。
それは、正座椅子である。
なんだあれは。なんなのだ。
だって、四角だの丸だのの形があり、しかも低い。
普通の人なら、低いものに腰をかけると、むしろ座りにくいものだ。
しかし、それに興味を抱いてからというもの、家具屋や雑貨屋などで正座椅子らしきものの存在が頻繁に目に入るようになった。

「ややや、ここにも。おぉ、こんなファンシーなものも」

思えば、私の持っていたキノコの椅子も、正座椅子であった。ただの低いキノコだと思っていたのに、まさかの展開であった。
このように、正座椅子は、今や日本中に普及しているようである。

さて、ここに一つの正座椅子がある。

全体図


なかなか綺麗な正座椅子である。
私はもう、これが正座椅子だと知っているが、大抵の人はきっと知らないに違いない。
そう思い、一人一人に突きつけてみることにした。

 ある日、父親が居間でお茶を飲んでいたので、早速聞いてみた。
私「これ、なんだと思う?」
父「椅子かな?」
なるほど、最初は椅子だということくらいしか分からないものだな。
私もそうだった。

私「そうそう。正座椅子っていうんだー。ちょっと座ってみない?」
父「ふぅん・・・・・・お父さんはいいよ・・・・・・」
私「ぇえー!なんでー、座ろうよー」
父「お父さん、正座は苦手なんだよ」

ぉお!
私はピンと来た。
正座が苦手な人にお勧めなのが、正座椅子なのだから、これはまさに座って欲しいものである。

私「大丈夫!これね、正座が楽になるんだよ!座ろう座ろう、はい!(差し出す)」
父「えー、じゃあ・・・・・・ちょっとだけ座るか・・・・・・」

そして、座面の下にスネを入れ込む位置を教え、座ってもらった。
すると、

父「おりょ!座りやすいね」

そうであろう、そうであろう!
何せ私も、今朝、初めて座って驚いたのだからな!
この足の圧迫感の無さ、クッションの適度な柔らかさ!
極めつけは、この傾き加減である。

クッション無し→あり・真横図

この傾きのお陰で、少し前に身を傾けることができ、更に楽になるのである。書道やカルタ等の床での作業をする時にも、適しているといえよう。
その後も父は暫く座っており、何かと新しい発見をしたようにはしゃいでいるのであった。
そして、

父「これの記事の題名は、《正座の友達》だね!!」

勝手につけられた。
父はなんだか、発想の豊かな楽しい人であると、最近しみじみ実感する。



 次に、友人を自宅に招いて見てもらった。
結構、知識のある友人なので、知っているのかいないのか微妙なところだった。

私「ねぇねぇ、これなーん・・・・・・」
友人「あ、正座椅子だー」

やられた・・・・・・出鼻をくじかれるとは、こういう事なのだとしみじみ実感。

私「あらー、知ってたんだね」
友人「うん。うち、法事の時に使うお寺で、よくこれ見かけるよ」
私「え?お寺に?置いてあるの?」
友人「うん、結構使ってる人いるみたい。うちは使ったことないけど」

なるほどー。正座が必須なお寺では、かなり普及していたんだなぁ・・・・・・。
用途に合った場所に在るのか。

正座椅子に座っている友人

友人「でも何かこれ、面白い形だね」
私「そうなの?どこら辺?」
友人「なんかクッションついてるし、大き目だし、デザインが違う」

ゆったりしながら背筋もピン!


そうか、クッションがついている正座椅子は、結構少ないのかな・・・・・・。
大きさも、四つ折りの新聞紙より少し大きめのサイズだから、安定が良い。更に、その大きさとクッションにより、しっかりと支えられている気がする。
そして、デザイン。
確かに、ごく普通の正座椅子は、あまりクッションがついていないように思える。そして、かなり和風っぽい感じが漂っている気がする。
しかしこれは、クッションの効果なのか、デザインの効果なのか、はたまた材質なのか、和風でも洋風でも合うように思える。
実際、カーペットの上で使っていたが、全然違和感がないのだ。むしろ、高級感さえ漂っている。

友人「和洋折衷のデザインなんだねー、家にあるなんていいねー」

流石、友人はかっこよくまとめてくれちゃっている。
でもあげないよ。


 最後に、母に見てもらった。

私「ねぇねぇ、お母さん」
母「あ、正座椅子ね」
椅子を見るなりこの発言とは・・・・・・流石、母である。

母「へぇー、綺麗なデザインじゃない」
私「こうやって座るんだってさ」
母「へぇー、座りやすそうね。アイロンがけが楽そう」

まさに今気づいたけれど、これは主婦の味方かもしれない。
座って行う家事などが多い主婦には、まさにうってつけの道具ではなかろうか。

母はまだ物を言いたがる。

母「座面が広くて、安定感がいいわね。それに、前後にスイングするから、体が自由に動くわねぇ」

確かに、揺りかごのような形なので、前や後ろに融通がきくところがある。
洋風のあの前後に揺れる椅子、ロッキングチェアーに似たところがあるのだろうか。
座って何となく揺れているだけでも、なかなか楽しいものがある。

母「アイロンかける時は、結構長く座ってるのよ。押してかける時なんかは、体重をかけるから、このスイングが丁度いいね」
私「そうだねぇ、確かに」
母「洗濯物をたたむ時もいいよね。取る時は身を乗り出すし、たたむ時はそのまま膝の上でたたむし、この一連の動作には、本当に丁度いいね」

母はよく喋る。
でも、確かに便利なのだ。スイングに注目するとは、流石主婦である。
これを母に譲ったら喜ぶかな・・・・・・。

母「あなたが使わない時は、お母さんに使わせてね」

どうやら、譲る必要は無いようである。


 この正座椅子は、金山興産有限会社の商品《素和美(すわび)》である。
どうしてクッションがついていたり、前後にスイングしたりと独特な正座椅子を作ったのだろう。
《素和美》を開発した山口さんは、こう言っている。

「素和美の原型は、もともと腰痛に悩んでいた私が、その原因と思われる猫背を矯正するために思いついたものです。底板を湾曲させる事で、座面を個人の体格に合わせて前傾させることが、素和美の特徴です」

特に設計で悩んだのは、
1.座面の前傾角度をどのくらいの範囲におさめるか
2.底の形状
3.正座をした時に足の先が開かないようにすること
4.安定性のバランス
5.全体に天然ならではの板を使うべきか
6.クッションの厚さ

などなどだそうだ。
特に、6番目のクッションの厚さでは、厚いと座高が高くなり、薄いと見た目が貧弱にならないかなども頭を悩ませたのだとか。

なるほど、やはり、開発する人は悩んで悩んで悩みぬくのだな。そして、一つの作品ができる、と。
山口さんに悩みぬかれたこの底板は、今や母が《スイング》と名づけ、便利がっている。
山口さんは、この他にも、日常に組み込まれる正座椅子を作りたいと、和洋折衷を心がけたのだそうだ。そのお陰で、実に場所を限定しない作品になっている。

実際に、この商品を購入した人の声を教えてもらった。
殆どの人が、《毎日1時間以上使用》しているとの事であった。
やはり、正座椅子があるからこそ、こんなに沢山の人が正座を一時間以上も続けられるのだろうな。それも、苦もなく。
山口さんは、そういう声にとても喜んでいるようだった。
確かに、作り手として、毎日使っているという言葉ほど、嬉しいものはないと思う。
しかしそれは、悩みに悩んで、それだけ丹念に作ったからだと思う。


気になる人ぞ気になると思うので、ここで、商品を説明しようと思う。

椅子とクッション(薄青)

まず、この正座椅子には、AタイプとBタイプがある。
座面の水平時の高さが12cmなのがAタイプ、13cmなのがBタイプだそうだ。
体型に応じて座面が対応するという事だが、女性は一般的にAタイプがお勧めだそうな。
更に、クッションの色も薄青、薄緑、アイボリーの3種類がある。
私は最初、アイボリーが何色か知らなかったが、象牙の色なのだとか。
どうやら、柔らかな白の色のようである。
ちなみに、私の手元にある《素和美》は、寸法32cm×26cm×12cmで、表面材は《ならの木》である。

そして、この商品と出会える場所だが、《原価に近い価格でお届けしたい》という事で、インターネットによる通販のみにしてあるらしい。
こういうところにも気を使ってくれるのは、買い手としても嬉しい事である。
価格の方は、Aタイプ8300円、Bタイプ8900円、専用クッションABとも2200円だそうだ。いずれも、消費税・送料込みのサービスになっている。


 最後に、山口さんから一言。
「毎日御使用頂いても永く使用頂けるよう、硬い木材を素材とし、木ねじで堅牢に組み立ててあります」


 腰痛のある方は勿論の事、高級感があるので、親へのプレゼントや正座を長くする人など、誰に送っても喜ばれる事だろう。
何しろ、インテリアと調和するので、ポツリと部屋に取り残されたような違和感も無い。
さて、少しでも興味が湧いたら、《素和美》のホームページを覗いてみてはいかがだろうか。
あなたの日常に、《正座椅子素和美》が一役かってくれるかもしれない!


URLhttp://homepage3.nifty.com/suwabi/
取材協力:金山興産有限会社 素和美